ノートパソコンのバッテリーについて

ノートパソコンのバッテリーの多くは、スマートフォンや電気自動車など、多くの電子機器に広く使われているリチウムイオン電池という種類が使われています。この電池は、軽量で大容量というメリットがある一方で、充放電(充電と放電)を繰り返すことで、少しずつ性能が低下するデメリットがあります。この性能の低下を「劣化」と呼びます。

バッテリーの劣化と充電サイクル

バッテリーの劣化はメーカーや製品により異なりますが、一般的に2～3年で新品時の80%程度の性能になると言われています。

充電と放電の回数は「充電サイクル」として数えられます。バッテリー容量100%に相当する電力を充電することを1回とカウントします。

• 例1)バッテリー残量が50%から100%になるまで充電した場合、充電サイクルは0.5回とカウントされます。これを2回繰り返すと、充電サイクルは1回になります。
• 例2)バッテリー残量が20%から70%まで充電した場合(50%分充電)、これを2回繰り返すと充電サイクルは1回になります。
  ※100%まで充電するたびに1回ずつカウントされるわけではありません。

熱を避ける

バッテリーは熱に弱く、高温な環境では劣化が早まります。ノートパソコンを真夏の車内や直射日光が当たる場所に放置したり、熱がこもりやすい布団やクッションの上などで長時間使用することは避けます。パソコンの理想的な使用環境は、10℃から30℃程度です。パソコン本体の内部に熱がこもらないよう、通気性の良い場所で使い、ファンが正常に動作するかも定期的に確認します。

最適な充電量を保つ

過度な「満充電(100%)」や「過放電(0%に近い状態)」はバッテリーに大きな負担をかけます。この状態を避けることが、バッテリーを長持ちさせるためのポイントです。

「80%充電」が推奨される理由

リチウムイオン電池は、充電量が80%を超えたあたりから電圧が急激に高くなり、バッテリーにかかる負担が増大します。この高電圧の状態が長時間続くと、劣化が加速する原因となります。
そのため、バッテリーの健康を保つために充電量を80%に設定することが推奨されています。

最近のノートパソコンには、バッテリーの充電上限を80%や85%などに設定できる機能が標準搭載されています。この設定を有効にすると、充電コードを接続したままでも充電量が設定値で停止するため、バッテリーの負担を軽減できます。

満充電の状態を避ける

常に充電コードに繋ぎっぱなしにする場合は、バッテリーが満充電のまま長時間維持されないよう、充電上限の設定しておくことを推奨します。

過放電を防ぐ

過放電とは、バッテリー残量が極端に少ない状態のことです。この状態を放置すると、バッテリーが使えなくなる(再充電できなくなる(過放電保護機能)が働き、再び充電できなくなるリスクがあります。ノートパソコンを長期間(数週間～数ケ月)使わない場合は、充電量を50～60%程度にして、電源ケーブルを外しておきます。

バッテリーを長持ちさせるための3つのポイント

ノートパソコンのバッテリー寿命は、使い方によって大きく変わります。リチウムイオン電池は、充電と放電を繰り返すことで劣化が進みますが、使い方を少し工夫することでその劣化を遅らせることができます。

• 熱を避けること
• 充電量を80%程度に保つこと
• 過放電にしないこと